鳥羽日記

なんとか亭日乗

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思索だってコストがかかる

 適当なことを書いてきたが、特に毎日更新する縛りを設けてブログを始めたわけでもないので、これ以後更新の頻度が落ちることと思う。それも仕方ないことだ。考えることは非常に疲れる。

 それはさておき、昨日はフケーの『水の精』を読んだ。いや馬鹿にならないもので、かなり面白い。幻想怪奇の古典的白眉だ。序盤、急流で陸地から寸断され孤島となった岬に、物語における閉鎖空間の類型を見出した。それは大江健三郎『芽むしり仔撃ち』のような、あるいは「ダンガンロンパ」のような脱出モデルと重なるところもあるものの、『水の精』においては愛の結実として機能する。閉鎖空間の引力と斥力といったものか、あるいは主作用と副作用と言うべきか。

 思考がまとまらない。思考そのものを閉鎖空間からの脱出に重ねてもいいのかもしれない。それ自体意味創発的な、密室からの脱出。